旭日コラム

後継者がいない会社の事業承継 ~中小企業のM&Aという選択肢~

中小企業のM&A

後継者がいない会社の事業承継 ~中小企業のM&Aという選択肢~

地域には、長年にわたり人々の暮らしや産業を支えてきた中小企業が数多く存在します。そこで培われてきた技術やサービス、顧客との信頼関係は、一朝一夕に築けるものではありません。
一方で、経営者の高齢化や後継者不足は深刻化しており、「事業を続けたいが、引き継ぐ人がいない」という悩みを抱える企業も少なくありません。しかし、後継者がいない場合でも、事業を存続させる方法はあります。近年では、第三者に会社や事業を引き継ぐM&Aが、中小企業における事業承継の選択肢の一つとして注目されています。
会社の後継者問題については以前のコラムでも取り上げましたが、今回はその選択肢の一つである第三者承継(M&A)に関する内容です。

M&Aは“会社を売る”だけではない

M&Aというと、「会社を手放す」「買収される」といったイメージを持たれるかもしれません。しかし、中小企業におけるM&Aは、長年築いてきた事業を次の担い手へ引き継ぎ、従業員の雇用や取引先との関係、地域に必要とされるサービスや技術を未来へ残していくための手段といえます。
後継者不在を理由に廃業すれば、本来であれば存続できた事業や貴重なノウハウが失われてしまう可能性があります。M&Aは、そうした経営資源を次世代へつなぐ選択肢の一つになるでしょう。

早めの準備が大切

M&Aは思い立ってすぐに成立するものではありません。特に、買い手企業とのマッチングには一定の時間を要します。また、M&Aの検討・交渉段階においては、財務情報(貸借対照表や損益計算書など)の確認や精査が行われるため、会計資料の整備が必要です。その他にも、株主構成の確認や契約関係(雇用契約を含む)の整理、自社の強みや課題の把握などは重要な準備事項です。
会社の状況が整理されているほど、買い手企業にも魅力が伝わりやすくなり、より良い承継につながります。将来の選択肢を広げるためにも、早めの検討が大切です。

信頼できる専門家と進める

中小企業のM&Aでは、仲介会社やFA(ファイナンシャル・アドバイザー)、金融機関、税理士などが関与します。近年は、安心してM&Aを検討できる環境整備を目的として、中小企業庁によるガイドラインの整備に加え、M&A支援人材の専門性向上に向けた資格制度の整備も進められています。
支援機関によって業務内容や手数料体系は異なるため、契約内容を十分に確認し、自社に合った専門家を選ぶことが重要です。

まとめ

事業承継の方法は一つではありません。
親族内承継、従業員承継、第三者承継(M&A)、そして場合によっては廃業も含め、会社にとって最善の方法を検討することが大切です。
中小企業は地域経済を支える主役です。一社一社が長年培ってきた技術やノウハウ、顧客との信頼関係は、地域にとっても大切な資産といえるでしょう。
M&Aは決して「会社を売るための手段」ではありません。大切に育ててきた事業の価値を次の世代へ受け継ぐための選択肢の一つです。会社の将来を考える際には、「誰に引き継ぐか」だけでなく、「何を残したいか」という視点でも検討してみてはいかがでしょうか。

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